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部会長挨拶

 日本産業衛生学会産業保健看護部部会長 五十嵐 千代


人生100年時代を迎えるわが国において、“国民総活躍社会”の名のもと、働ける人は老若男女を問わず多様な働き方が認められる時代になり、成人期の健康獲得が重要な位置づけになってきました。そのような中で、保健師・看護師からなる産業保健看護職は国民の半数以上を占める働く人の健康を、働く人の最も身近な立場にいながら、労働者と事業者の双方に対して支援をおこなう専門職です。

働く人々の健康は労務管理として位置づけられる今日、産業保健看護職は個人・集団・組織の健康状態や思いなどをきめこまやかに把握し、個人と集団・組織を常に連動しながら健康課題の解決を組織的に取り組んでいきます。個人に対してはとも考え寄り添いながら、職場に対しては多角的視点から職場診断をおこない、経営層とも連携しながら、健康支援を行います。さらに、企業をとりまく環境やCSR(企業の社会的責任;Corporate Social Responsibility)にも、安全衛生の視点から提言していく役割を担っており、健康経営に代表されるヘルシーカンパニー形成にも寄与しています。

産業保健看護部会は産業保健看護職からなる学会内の職能組織です。実践と学術を融合しながら、産業保健看護職が科学的根拠に基づく実践者として社会に貢献できるよう、また、産業保健看護職の社会基盤強化に向けて勢力的に活動しています。

  1. 看護基礎教育から現任教育における人材育成への支援

    看護基礎教育においては保健師基礎教育における産業保健実習への協力や研究協力、日本産業衛生学会産業保健看護専門家制度への研修、研究支援などを通じ、産業保健看護職としての質の向上への支援をおこないます。

  2. 産業保健看護職の社会基盤強化への支援

    働く人の健康に向け、産業保健看護職がより活動しやすくなるための、法制化や教育機会の体制化づくりにむけた取組みを多職種多機関と連携しながら進めていきます。

  3. 産業保健看護職のネットワークづくり

    産業保健看護部会の会員になることで、多くの情報にアクセスでき、本部会と各地方会が連携しながら、多くの仲間と交流できる機会をつくります。

  4. 国際活動の推進

    海外の産業保健看護の動向を伝え、海外の先駆的活動を学び、わが国の産業保健看護活動を海外に発信しながら、グローバルな産業保健看護活動を共有します。

ILO161号条約にある「すべての働く人々に等しく産業保健サービスを提供する」ことをわが国が批准していくために、産業保健活動は様々な職種からなるチームとして活動を展開していく時代です。そのチームの中で、産業保健看護職は心身の健康をトータルに支えることのできる医療職であり、社会学に基づき集団の健康支援ができる職種でもあることから、重要な役割を持ち期待されています。是非、一人でも多くの産業保健看護部会員とともに、産業保健看護部会活動を進め、働く人の健康に貢献していきたいと考えています。

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